2015年8月26日水曜日

キッズと英語

小学校入学前に英語を学ぶ価値


小学校での英語授業の導入が決まって以来、キッズ向け英語教育が注目されています。
昔から小学校入学前の子供向けの各種習い事については賛否両論があります。子供が子供らしく自由に遊ぶ意義と、早期から何らかの技術・知識を身につけることの意義を量ったとき、その判断になる材料があまり多くないことが原因でしょうか。

スポーツや音楽など、経験が大きく技能に影響するような習い事において、5歳前後からそれを学んでいるかどうかは、非常に大きな差をもたらすことは事実です。

小学校入学までに両親に充分に愛されて育った子供と、そうでない子供との間には、成長後の人格形成に大きな違いが現れます。それは、いかにその年齢における環境が後々の人生に影響があるか、の証左と言えるでしょう。

さて、そのような年齢の子供にとっての英会話教育とはどのようなものであるべきでしょうか。

小学校で英語の授業が導入されることから、早期に英語教育に触れることには大きな意義があることは事実です。英語は「言語」ですから、始めて英語を学ぶということは、普段の生活とは全く異なった感覚の知識・概念を学ぶということであり、スタートで躓く可能性があるのは否定できません。そのような事に備えてスタートを容易にする意味は大きいでしょう。

では、小学校入学前の英語教育で何を重視すべきでしょうか。

私共は、「慣れ・経験」だと考えます。

幼児にとっての日本語環境において、ボキャブラリーや文法は、あまり価値を持っていないことは皆様も経験上ご存知かと思います。彼らにとって最も重要なのは、回りにいる人たちと「コミュニケーションをとろうとする」行動です。ボキャブラリーは年齢(日本語の経験の量と言えます)が上がれば確実に増えます。また、文法も学ぶことなく、基本的な構造は身につくものです。

英語についても同様で、英語を始めたばかりのときは、それが何歳であれ、「幼児」と同様です。私たちが日本語を身につけてきたのと同じように英語もまた幼児が言葉を身につける過程をなぞるのが最も確実に英語を話せるようになる方法です。

キッズと英語と外国人


日本国内で外国人に出会う確立、そして何らかのコミュニケーションをとる確立、そしてその外国人が英語圏出身者である確立は、非常に小さいと思われます。それが子供にとって、となると、ほぼ、ゼロと言っていいでしょう。

私たち大人にとってさえ、始めて外国人と出会ってコミュニケーションをとるのは容易ではありません。まして、自我が確立し始めたばかりの小学生にとっての外国人・英語は非常に敷居が高いものです。もちろん、教育の場ではそれは充分に考慮されているはずですし、そうでなくてはいけません。

外国人であれ、日本人であれ、みな人間であることは自明の理ですが、他の民族との接点が少ない国内にあって、外国人の外見は大きく異なるように感じるのも、また事実です。

外国語を学ぶ、ということのスタートラインとして、まず、外国人に出会って、その姿に慣れることはとても重要です。

小さなお子様の知識の吸収力は目を見張るものがあります。彼らが口にする英語は単語レベルであるか、非常に短いセンテンスですが、その発音とアクセント、イントネーション、また「音の流れ」はネイティブスピーカーに引けをとりません。

また、日本語は、世界的には非常に稀な構造をした言語で、(外国人にとって日本語を学ぶというのは非常に難しいそうです)その環境で育ってきた日本人にとっては、外国語は難しいとも考えられます。

しかし、幼児が一切、言語の構造を、またボキャブラリーさえも気にすることなくコミュニケーションをとるように、小さな子供にとっては、環境があればそこに適応することはさして難しいことではありません。

皆さんが幼児とコミュニケーションをとることを思い起こせば、それは、皆さんがかけた言葉に幼児が「反応する」ということが全てであると言っても過言ではないでしょう。皆さんは、可愛い子供が皆さんの言葉に「反応」したことに幸福感を覚え、笑顔を返します。子供たちはその笑顔を見て、幸福感を感じ、また、皆さんに笑顔を返します。

小学校入学前のお子様が、「英会話」をマスターする必要はありません。外国人と英語環境に対する「慣れ」がとても重要なのです。

キッズと日本語


また、私共は、小学校入学前のお子様については、「英会話」よりも「母国語による会話」(日本人にとってはもちろん日本語です)を重視して頂きたい、とも考えます。自我の確立過程において、全ての人間は、「知識・情報」や「論理的思考能力」を「母国語」で身につけることがほとんどで、日本の場合は特にそうです。幼少時に英会話を身につけても、英語によって「知識・情報」、「論理的思考能力」を身につける機会は国内ではほとんどありません。

大人になってさえ、母国語を10年間使わずに過ごせば、その能力は目に見えて衰えてしまいます。ましてや人格形成に最も重要な時期に、母国語能力をしっかり身につけていないと、基礎的な知識や思考能力に大きな問題を残します。

小学校入学前のお子様をお持ちの皆様には、ご家庭で、是非、お子様方と「日本語」で、充分なコミュニケーションをとって頂きたいと存じます。

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