2015年8月26日水曜日

ビジネスと英会話

なぜ、今「英語」?


楽天やユニクロなど、英語を社内公用語として採用する企業が現れました。

かつて、日本国内の企業にとって、市場はそのまま日本国内でありました。
日本は人口が多く、また、極度な貧困層が非常に少ないため、その国内総需要は非常に高いからであり、また、国外に高い需要を有する国が少ないこと、その少ない対象国への輸出をすることについて、対費用効果が低かったからと考えられます。

基本的に、その状況は大きくは変化していません。国内は近代史上稀に見るデフレですが、国外はリーマンショック以来の信用不安で、国内以上に需要が冷え込んでいます。そのような状況を考えると、日本から海外への「輸出」は必ずしも経済的効果が大きいとは言えません。

では、なぜ、今「英語」なのでしょうか。
実は、昨今の日本の技術力や、製品・サービスの品質の高さは、先進国の中でも非常に高いところにあり、また、文化的な面においても、「昨今の文化は欧米化され過ぎている」という国内での批判に対し、国外からの視線は、「非常に近代化されているにもかかわらず、伝統的な文化を色濃く残しているため、欧米との差異が大きい」と言われています。
このように、今日の日本は外国の方達、企業にとって、非常に魅力のある国になっているのです。彼らは今後、日本の技術・文化・市場を求めてどんどん日本に来られるでしょう。

そのような時、どの言語を以ってコミュニケーションを行うべきか、という点については、「国際公用語のデファクトスタンダードたる英語を使うべき」、「先方の母国語を使うべき」、「郷に入れば郷に従え、で日本語であるべき」という様々な意見があると思います。

しかしながら、先方の母国語となった場合、英語圏以外の国の外国語は敷居が高いと言わざるをえません。

話者人口比で言えば、中国語・スペイン語・アラビア語・ヒンディー語などが上位に挙がりますが、日本に来られる外国の方の比率、特に、日本人とのコミュニケーションの必要度が高い方になると、英語の重要度は非常に高くなります。

国際公用語だけじゃありません


ここで英語を用いると仮定した場合、そのメリットは、「国際公用語のデファクトスタンダード」であることのみならず、先方が英語圏の方である場合、交渉・コミュニケーションの際に、相手の言うことが全て理解できる、という状況に居られることが大きいと考えられます。
特に、タフな交渉の場などにおいて、先方同士で話し合う内容をこちら側が聞き取れる状況にあるということは、(もし、先方が日本語を聞き取れない場合に限りますが)非常に有利であると言えましょう。

また、交渉の場に限らず、外国から観光にやってきた方にとっても、英語が通じる場が多いことは非常に居心地が良いかと思います。

では、交渉やコミュニケーション以外の場で、英語はどのように役立つのでしょうか。
日本の教育において、外国語として殆どの場合英語が選択されます。その点においては英会話を学ぶことは十分に価値があることですが、社会人になった以後、日本人にとって英語は全く不必要なものではありません。
なぜなら、皆さんが使用されているパソコンですが、キーボードは基本的にアルファベットを基準に作られています。実際に日常的にキーボードをタイプする場合も、いわゆる「ローマ字入力」のほうが速いだけでなく、ウェブサイトのアドレスやメールアドレスは必ずアルファベット表記です。
また、今日、情報収集の源として非常に重要度を増しているインターネットウェブサイトも、(日本語サイト群の巨大さは国際的にも稀であるとはいえ)英語サイトの比率が最大なのです。

インターネットや情報技術関連以外にも、新しいテクノロジーや概念について、日本語訳が困難、または訳語が定着しない場合など、原語のまま使われる語彙も多く、そのような場合、原語が英語であれば、その概念を理解できることは非常に高い価値があります。

英語を身に着けることは、決して無駄ではありません。とても価値あることなのです。

英語で考える・調べる


ただし、いくつかの問題はあります。 楽天での、英語の社内公用語化において、「(ボキャブラリーの限界によって)会議において発言内容がシンプルになり、会議の進行がスムーズになった」という話がありましたが、それはすなわち、「複雑な概念を会議において話し合う機会が失われた」ことを指しているとも言えます。

しかし、これを解決するのもまた、決して難しいことではありません。
会議の席のような素早い反応を求められる場で、複雑な概念を考えつつ、その内容を英語で話すことは簡単ではありませんが、常日頃考えているようなことであれば、事前に、また気づいたときに、そのような言葉の訳を調べておくことはできます。

昨今はインターネットを利用した翻訳サービスや、高性能な電子辞書など、外国語習得にも非常に便利になってきました。便利だからといって、それが身に付かない、ということではありません。「自らの意思で調べた」ことは記憶に残りやすいものです。たとえ忘れてしまっても、また調べればよいのです。

ボキャブラリーは、いずれ、必ず身に付くものです。多くの場合、問題はボキャブラリーの量によることが殆どであり、それが克服できれば、英会話は難しいものではありません。

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